ごく控えめにいって、私が過去10年間で聴いたすべてのアルバムの中で最高の作品です。後年に語り継がれるであろう、世紀の大傑作だと思います。

普段はレビューの類いは一切見ないし聞かないのですが(=純粋に「興味がない」ので)、今回ばかりは自分自身が「恋は盲目」に陥っていないか怖かったので、この文章を書く前に、プロフェッショナルによる英語で書かれたレビューをかなり読みました。

すると、辛口のレビュアーたちがこぞって絶賛しているので自分の感性が狂ってなかったとホッとしたのと同時に、まさにこの休日コラムで書こうと思っていたことの多くが語られてしまっていて、これはかなりまいってしまいました(笑)。それはそうですよね、私のようにただの音楽ファンが感じたり気づいたりすることに、プロが触れないわけがありません。

ほぼ全誌が言及していたのは、こちらもやはり世紀の大傑作であるRadioheadの3rdアルバム“OK Computer (1997)”との関連です。どう比較するか・関連付けるかはレビュアーたちによって様々でしたが、私のような「聴く専」の音楽ファンからすると、テーマ設定のアプローチの仕方や、それから曲によってかなり具体的なRadioheadへのオマージュが感じられる点などが分かりやすかったですね。ともあれ、”OK Computer”と対等に比較されること自体、大きな栄誉であることは間違いありません。

また、これは「なるほど~」と感じたのは、「インターネット時代を描く文学や絵画はいくらでもあるけれど、それの本格的な解釈を試みた初めてのミュージックアルバムだ」という論説ですね。確かにアルバム全編を通して”Online Relationship”についての考察と、その時代に生きる私たちへの強いメッセージとであふれています。いま懸命に探したのですが、このレビューの出所が分からずでスミマセン・・・汗。こういうのはブックマークしておかないといけませんね。

 


11月30日の午前0時にリリースされてから、まあ完全に徹夜状態で朝まで聴き続けましたね・・・。「聴かされ続けた」という表現の方が正しいというくらい、もう取り憑かれたように聴き続けました。年齢を重ねて涙腺が弱くなっているので、一晩中泣かされ続ける始末です。

ただ、「ちょっとこの感覚は異常かもな~」「ファン心理のミーハーさもあるよな~」と顧みるくらいの冷静さは残っており、そののちあえて丸12時間くらい聴かずに別のことをして過ごし(=私は休日でした)、「よし!」と聴き始めてまた号泣。「俺はいったいどうしちゃったんだ??」と気が狂いそうになりました。

けれども、ギターロック、ポップ、エレクトロニカ、ヒップホップ、クラシックバラード、ポップロック、アシッドジャズ、Radiohead、クラシックジャズ、エイティーズ、そしてパワーバラードと、怒濤のように押し寄せる音楽史(しかもその”Type Millennial”)の大波に打ちのめされるのは、クラシック音楽の鑑賞の授業が何よりも好きだった小学生のときからずっとずっと音楽を聴き続けてきた自分にとってはむしろ自然なのかもしれない、そして「これはもう客観的に傑作なのではないか」という仮説のもとにレビューサイトを読みあさることになります。

 


先行でシングルカットされていた5曲がそれぞれ強烈な存在感がある名曲なのですが、この作品はあくまでアルバムで聴くべき一作です。アルバムの中に1曲たりとも物足りないと感じるピースがないという充実度は彼らの過去2作と同様ですが、その1曲1曲に圧倒的な「深化」「密度」が感じられるのが本作です。1曲1曲レビューしていくと小冊子くらいにはなるかもしれません(笑)。それにしても28歳?29歳?でこの境地に到達するというのは・・・。

アルバムの中にいくつかの「流れ」があると感じているのですが、最も好きなのが以下の3曲の連なりです。もし環境的に可能でしたら、大音量で浴びるように聴いて頂くと、その宇宙的で神秘的かつ壮大なサウンドサラウンドに包み込まれるような感覚を味わって頂けるかと思います。

特に”I Like America & America Likes Me”が私の最愛の1曲で、それゆえに”The Best Song of The Year 2018″です。今のアメリカ音楽の象徴である強いヒップホップビートをベースに、それ以上にまるでアメリカへの「ラブレター」のような強烈なメッセージを含んだリリックが、ラップのようにきれいに韻を踏みながら繰り返し繰り返し、それはもう泣き叫ぶように歌われます。洋服好きとしては、”Kids don’t want rifles, they want Supreme”のフレーズにシビれましたね。

The 1975 – I Like America & America Likes Me
I Like America & America Likes Me
The 1975 – The Man Who Married A Robot / Love Theme
The Man Who Married A Robot / Love Theme
The 1975 – Inside Your Mind
Inside Your Mind

 


あとこの4曲の連なりも・・・。ここでは時空を超える音楽の旅が楽しめます。何度でも何時間でも浸っていたい官能の音楽体験です。

特に、アルバムのラストを飾る”I Always Wanna Die (Sometimes)”という曲は圧巻のパワーバラードで、Bon JoviやらMr. Bigやらハードロックの王道を通ってきた私の世代にはたまらない1曲です。スタッフYもこの曲が流れると毎回泣きます(笑)。いや、本当にそういう曲なのです。この曲を先行でシングルカットしていないのがポイントなんですよね。

蛇足ですが、”Your death it won’t happen to you. It happens to your family and your friends” このフレーズは、吉本隆明さんが最晩年に話した「死は自分に属さない」とまったく同じことを言っていて、「本当に28歳の若者の歌詞なの??」とビックリ。

The 1975 – Surrounded By Heads And Bodies
Surrounded By Heads And Bodies
The 1975 – Mine
Mine
The 1975 – I Couldn’t Be More In Love
I Couldn't Be More In Love
The 1975 – I Always Wanna Die (Sometimes)
I Always Wanna Die (Sometimes)