先月開催した壺草苑販売会の最終日、工房長の村田徳行さんをインタレストの店頭に迎えました。
そのとき、私たちもたくさんの話を聞かせてもらってとても勉強になったのですが、その中でも感動すら覚える話がいくつかありました。本日はそのうちの1つについてお話しします。
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いつもお話ししています通り、発酵建(はっこうだて)で建てる(=つくる)壺草苑の藍の染液は、「発酵」という文字通りの意味で「生きています」。それなので、藍の調子の良い悪い(→「機嫌の良し悪し」なんて言ったりもしますが)によって、染まり方や色味などがまるで違ってきます。
たとえば、白地と濃色のハッキリしたコントラストこそが美しい「板締め」柄は、建てたばかりで最高の状態の染液でしか染めることができません。そうでないと、濃色の部分の濃さが中途半端になったり、ボーダー柄がボヤけてしまったりして、美しい柄染めに仕上がらないからです。(たとえば、このカットソーやこのスカートのクッキリとボーダー柄の入った板締め柄の、その圧倒的なまでの美しさは、最高の藍と最高の技術とがないと実現し得ません。)
状態が良い染液をつかわなければいけないという意味では、濃淡の幅をしっかりと出さなくてはいけないグラデーション染めも同様です。
また天然藍染めのもう一つの特徴として、単色染めで濃くするには回数(=染める回数)を重ねなければならないということがあります。仮に状態の良い染液をつかえば、たとえば2番(淡藍)単色であれば1~2回で染め上がりますが、5番(濃濃藍)単色であれば最低でも5回以上染めのプロセスを繰り返すことになります。
もっともこれは「状態の良い染液をつかえば」という話で、既にだいぶつかって「そろそろ限界」というような状態の染液であれば、2番単色でも5回くらい染めないいけません。
ここまでは、私たちインタレストのスタッフももともと知っていた話。驚いたのはこの先です。
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たとえば、2番単色のカットソーを染めるとき、上でお話ししましたように、状態の良い染液をつかえば1~2回で染められることは分かっていて、手間としてはその方がはるかに簡単なのですが、壺草苑ではあえて「そろそろ限界」の状態の染液をつかって5回染めているのだそうです。
それはなぜか。1~2回で染めた2番単色のカットソー、5回で染めた2番単色のカットソー、「商品」として仕上がる色味はほぼ同じであっても、前者の方が藍につかった回数が少ないため、お洗濯やお日様による色あせが強く&早く出る傾向があるからです。
ただでさえヒト・モノ・カネすべてが膨らむ発酵建の天然藍染めで、「商品」の見かけではまったく分からない、実際にお客様に着られることによって現出する「内なるクオリティ」を高めるため、さらなる労力をかけているというこの心意気に、言葉を失うほどの感動を覚えました。
そしてこの話を村田さんから聞いたとき、私たちスタッフだけでなく、その場にいらしたお客様も皆様ものすごく驚いておられました。壺草苑といえば、工房長謹製の板締めと伝家の宝刀たるグラデーション染めに目が行きがちですし、単色染めですと濃色が人気なのですが、この話を聞いて、俄然淡色染めへの興味をそそられてしまいました。
私たちが数ある藍染めブランドの中でも、壺草苑とタッグを組んで皆様にお洋服をご案内していることの背景には、今回お話ししたことに象徴される、彼らの真摯で誠実な仕事ぶりがあるからなのです。
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(こちら、2番単色で染めてもらったeverlasting sproutとのコラボレーションTシャツです。スタッフYが私物用におろして連日着まくっていますが、まったく色落ち・色褪せはありません。)
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