こんにちは、インタレストです。

本日は、今秋冬シーズンに頂いた壺草苑のパーソナルオーダー(今年5月オーダー承り→10月納品)のうち、(時間的に)撮影させて頂けた一部のお洋服たちをご紹介いたします!

インタレストで半年に一度承っている各ブランドのパーソナルオーダーのうち、LOWRUNDERと壺草苑については、1着1着手作業でお洋服を仕立ててくれるので、特に柔軟なオーダーを承ることができます。

壺草苑については、つかう生地・ボタンの種類や染め方はもちろんのこと、多少のディテール変更やサイズ調整などにも対応してくれます(無料or有料)。まずはともあれアイデアを頂けましたなら、「可能or不可能」とお見積もりを工房に問い合わせます。パーソナルオーダー受付の期間中(次回はまもなくです♪)には、ぜひお気軽にご相談下さいませ!

(店頭には、工房がパーソナルオーダーのためにつくってくれた、染め色・柄ごとの生地サンプルもございます。)
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初めてオーダー下さるというお客様も、そして毎シーズンオーダー下さるお客様もどんどん増えていて、皆様それぞれの「ひらめき」や「工夫」も、もはや工房も私たちもビックリしてしまうようなレベルに達していて、きっと以下をご覧になって、「こんなことまでしてくれるの?!」と驚かれるのではないかと思います・・・!

近日、来季春夏シーズンのパーソナルオーダー受付を開始いたしますので、ぜひ本日の日記をご参考にして頂けましたらと思います!

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それでは以下、個性とこだわりがあふれ出る5着のお洋服をご覧下さいませ!!

なお、以下の記事でつかわれている「単色染めの濃さ」を表す便宜上の数字がありまして、5段階で「淡淡藍(1番)→淡藍(2番)→中藍(3番)→濃藍(4番)→濃濃藍(5番)」となります。(染めない「白残し」の部分を「0番」と表現することもあります。)途中何度も出てきますので、ご確認頂けましたらと思います。

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1,「ライナー白残しグラデーション」のコットンボイル・タックスカート(リバーシブル仕立て)

頭から「これが壺草苑?!」という見た目なのですが、はい、その通りなのです♪ まず、こうして普通に撮影するとどうしても「真っ白」のスカートに見えてしまうのですが、実はライナーが藍染めされていて、実物は外側からもほんのり薄く藍色が透けて見えるデザインです。その(藍染めがされている)ライナーの側を表にしても履けるリバーシブルの仕様にするため、裾丈を調整したり、あるいはウェストを「ひも」→ゴムに変えたりと、様々な工夫がいっぱい詰め込まれています!

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このスカートのもとの形は、ウェストを「ひも」で締めるデザインなのですが、オーナー様のご希望でゴムに変更しています。さすがにこのレベルの仕様変更になると「可能or不可能」の次元なのですが、工房が「ちょうどゴムにしようかとも考えていた」という幸運があって実現しました。つまり、今後このスカートについては、ウェストゴムの仕様でもおつくり頂けるということです♪
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この角度、実際には内側の藍色が透けて見えて本当に美しいんですよ~!
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裾をそっと持ち上げてみるとそこには美しい天然藍の色が・・・!
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そしてこちらが、その内側のライナーを表にした見え方です。そう、リバーシブルなのですね~!すっばらしいアイデアです!染めは、「上→下」に0番→2番で濃くなっていく、白残しの淡めグラデーションです。また、本来表地よりもだいぶ短めにつくられるライナーの長さをほぼ表地と同じ丈にして、リバーシブルで履いたときも不自然にならないようにしています。ウェストもゴムでないとできませんしね!いろいろ計算されていてスゴイ!
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このスカートは、表地でシャリ感のあるボイル生地、ライナーでつや感のあるローン生地がつかわれているので、こうしてライナーの側を表にすると、いっそうエレガントな雰囲気も出ているように感じます。
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グラデーションの一番濃い部分でも5段階中の2番(淡藍)です。オーナー様はとてもホワイトという色がお似合いになり、そしてご自身も好んでお召しになるという方なので、こうしたパステルな色味にした方が合わせやすいだろうというご判断です。このあたりも「さすがだな~」と感じ入りました。
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オリジナルの生地と形は以下のものです!

特注アイテムには、必ずもとになる形(→パターン)があります。それをアレンジして、それぞれのオーナー様のお好みのお洋服に仕立てていくのです・・・!

ここでご紹介してるスカートの場合、こちらの2枚の画像でスタッフY(身長160cm)が履いているスカートがそのオリジナルです。1枚目がグラデーション染め(3番→5番)、2枚目が帯状変わり板締めですね。オリジナルも大定番で、たいへん人気のあるスカートです。(1枚目のグラデーションの方は1点在庫しております。)
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2,「藍返し(板締め×淡藍染め)」のコットンフランネル裏地・ガゼット付きシャツ

柄染め(=このシャツの場合は板締め)をした上から単色染め(=2番)を施すという重ね染め、通称「藍返し」という技術がつかわれたレディースシャツです。インタレストでは・・・というよりインタレストのみで(笑)、すっかりおなじみになりましたコットンフランネルの「裏地仕立て」ですので、美しい光沢も上がっています!オーナー様は「藍返し」という技術自体はご存知なかったそうですので、これもまた見事なひらめきだったのだと、本当に恐れ入っています・・・!

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全体は淡藍の色味に染め上がるので、普通に考えればボタンはホワイトが映えるかなという印象なのですが、フランネル生地で主に秋冬でのご着用になりますので、そこはあえてお洋服を引き締めるという意図でブラックシェルボタンをセレクトされています。
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この柄染め×単色染めの「藍返し」、近日ご案内する来季春夏シーズンで様々な染め柄&濃さで提案されていて、まさに「目玉」としての扱いです。・・・それって、明らかにこのシャツのオーダーがそのきっかけになっていますよね??笑 (→「はい、そうです!えへへ♪」と工房より。笑) 皆様、来季はこの「藍返し」をぜひお試し下さいませ!
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コットンフランネル裏地仕立てならではの、実に美しいシャツに仕上がっております・・・!
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オリジナルの生地と形は以下のものです!

ここでご紹介しているシャツは、壺草苑でも定番ですし、インタレストでも最も人気のある「ガゼット付きシャツ」の形で、サイズ調整は一切していません。かなり大きめなつくりのシャツなのですが、シルエットは決して膨らまない「魔法のシャツ」で、華奢なお身体のお客様でもサイズ調整をご希望になることはまずありません。とても安心感もありますし、何より実績がある形です。秋冬は温かい生地で、春夏は涼しい生地でお仕立て下さいね!

上の「藍返し」のシャツと、形&生地(=コットンフランネル裏地仕立て)はまったく同じで、こちらは5番単色のこれまた美しいシャツです。こちらもただいま1点のみ在庫しております
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スタッフY(身長160cm)が着ています。ともに生地は同じくコットンフランネル裏地し立てで、1枚目は3番単色、2枚目は変わり板締めです。
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「2番とか5番とかって何の数字??」というお声が聞こえてきましたので(笑)、このあたりでもう一度書いておきますね!

>記事でつかわれている「単色染めの濃さ」を表す便宜上の数字がありまして、5段階で「淡淡藍(1番)→淡藍(2番)→中藍(3番)→濃藍(4番)→濃濃藍(5番)」となります。(染めない「白残し」の部分を「0番」と表現することもあります。)途中何度も出てきますので、ご確認頂けましたらと思います。

 

3,「重ね染め(中藍染め×松煙染め)」の厚手コットンフランネル・メンズシャツ

真上の「藍返し」と同じ重ね染めなのですが、こちらは単色×単色の重ね染めです。まずは3番単色で染めて、その上から松煙染めをしています。メンズシャツでのお仕立てということもあり、本日ご紹介している5着の中で最も「カッコイイ!」叫びたくなるデザインです。私・店長Dも男子なので、このシャツには惚れ惚れしてしまいます!オーナー様は5番単色のシャツは持っておられるので、「濃色染めでも色味を変えたい」と、今回のこのデザインを選ばれたのでした。

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今秋冬シーズンからつかえるようになった新作生地「厚手コットンフランネル」がつかわれていて、その雄々しい生地感と、藍×松煙の「グレーがかったダークネイビー」というようなシビれる色味とで、本当に実物はとんでもなくカッコイイです!藍色のお洋服が何着か揃ったなら、こうして藍色のニュアンスを変えてつくられるのも良いと思います・・・!
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3番×松煙(左)と5番単色(右)の色味の比較です。ぜんっぜん色味違うんです。ただ、左が黒みが強いかというとそれは違っていて、確かに藍色が優勢なんです。
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松煙染めでは、松の木を燃やした時に出る煤(すす)を豆汁(ごじる)に溶いて、藍染めと同様、工房のスタッフが手作業で繰り返し染め付けています。コクのある色合いになるのと、ニュアンスに富んだムラ感が出るのが特徴で、かつこのように藍染めとの重ね染めの相性も抜群です!
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それからオーナー様、いくつかのディテールで遊ばれています。
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まずこの襟で、同じ生地の裏地をつかわれています!厚手コットンフランネルは、表地と裏地の生地感がまるっきり違うのと、藍の染まり方(=色味)もまるで違うので(この画像で見るよりハッキリと違います)、結構なアクセントになってくれます。
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胸元のポケットも裏地で・・・
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あとは袖口ですね!ここでも裏地をつかわれています。このポイントづかいも、想像よりずっと効いていて嬉しかったですね~!
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工房もこのシャツの重ね染めの色味は相当うまくいったという自負があるようで、そしてオーナー様も、もちろん私たちも大満足で、とても良いオーダーを頂けたとありがたく感じています。このシャツのように、「新しい生地×新しい染め方」の場合、オーナー様にも相応のリスクを負って頂くことになるわけですが、さすが壺草苑、見事に成功させてくれましたね~!
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ボディは表地、襟は裏地。
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オリジナルの生地と形は以下のものです!

つかわれている生地は、このグラデーション染め(3番→5番)のスカート(=在庫しております)でもつかわれている厚手コットンフランネルです。定番のコットンフランネルと比べるとかなり肉厚で、メンズシャツや、レディースウェアではこのようにボトムスなどでつかうのが良さそうです。ただ、やっぱりとっても美しい藍色で染まるんですよね!このスカートの色味と、真上のシャツの色味とを比べて頂くと、松煙染めによる色味の変化をよくお分かり頂けるかと思います!
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そして、形はこちらの定番のメンズシャツです。実はこの変わり板締めのシャツも、今回ご紹介している3番×松煙染めのシャツも、同じオーナー様によるオーダーアイテムです。ちなみに、このシャツが生まれたことで、藍色の面積を大きく残す変わり板締めができるようになったという記念碑的アイテムでもあります・・・!(工房長謹製です♪)
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1枚目が5番のコットンフランネル・メンズシャツ(秋冬物)、2枚目が3番のコットンラミーシャンブレー・メンズシャツ(春夏物)です。いずれも私・店長Dの私物です。着まくっております。笑
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4,「濃藍生地染め」のメリノウールフラノ・オーバーシャツ

私たちとしても、工房としても、いつも通りオーダーを承ってから、次々と「このメリノウールフラノ生地でシャツを仕立てるということ」の予期せぬ難しさに直面し、たいへんな「産みの苦しみ」を味わったお洋服です。でも、気軽にご提案してしまった私たちの過失を責めることもなく、度重なるご相談に快く応じて下さったオーナー様、そして様々なアイデアと工夫を駆使して仕立ててくれた誠実な縫製さんのおかげもあって、世にも美しい、そしてほぼフルオーダーというステキなシャツジャケットが仕立てあがったのです・・・!

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このシャツが入荷してきて、緊張しながら初めて見たときは、本当にスゴイ衝撃を受けました。「なんてきれいな洋服なの・・・」と、しばらくボーッと放心して眺めてしまうような感じで・・・。味わったはずの「産みの苦しみ」が、一瞬でなかったことになってしまうような感覚でした。
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特注のくるみボタン。
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この肉厚な生地で仕立てるときに、一番問題になったのは構造上生地が二重になる部分が「厚くなりすぎる」という問題でした。そこで縫製さんが提案してくれたのが、二重になる部分の内側には最も薄いコットンローン生地を当てるという工夫です。
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特に襟の部分などがカッコ悪く膨らんだりしたら、お洋服として台無しですよね。でもこの工夫のおかげで、美しい形の襟に仕上がったのでした。仕立てる前にこういうリスクを次々見つけてくれるのですから、経験と実力のある縫製さんってスゴイですよね!
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この美しさですよ・・・ウットリさせられます・・・。
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袖の裏にもローン生地が。ここの部分、ロールアップするとアクセントにもなってくれそうですね♪
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仕事が細かい~!感激です!
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このシャツはオーナー様のご希望で、襟周りや胴回りの寸法をオリジナルから結構大きく変更してもいます。そのことによって、もともとフレアのシルエットであるものが、縦にストンと落ちる細長のシルエットに変わっています。
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あとは、オーナー様のご同意も頂けたので、このとびきり高級なメリノウールフラノ生地で大きめなシャツをつくるなら、いっそライトアウターとしても着られるシャツジャケット風にお仕立てしようということになりました。ここまででお話ししていることは、ほほすべて縫製プロセス中に決まっていったことなんです。この臨場感、スゴすぎませんか??私たちはドキドキしっぱなしでしたが。笑
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「シャツジャケット風のお仕立て」ですので、こうして前身頃を開けて着てもこんなにもカッコ良くなります。
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お迎えにご来店下さったオーナー様に着て頂き、撮影させて頂きました!雰囲気、丈、シルエット、生地感・・・諸々ご満足下さって、涙が出るほどに嬉しかったです。何より、工房が懸命に頑張ってくれたという誠実さに深く共感下さったことにジーンときてしまいました。オーナー様、貴重なオーダーを実現するチャンスを下さいまして、本当にありがとうございました!関係者全員にとって、大きな経験値となりました!
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オリジナルの生地と形は以下のものです!

生地は今秋冬シーズンの新作、メリノウールフラノです。高級ウール生地の藍染めアイテムということで、もともと私たちのイチオシでもありました。先日開催しました販売会では、入荷したメリノウールフラノのお洋服は全アイテムお嫁に行きました。この生地はまずはダントツでお客様の目を引き、そして実際に着てみて感激してしまうほどに気持ちが良く温かいのです。

工房としても「これだけ評判が良いので継続したい気持ちは満々なのですが、いかんせん藍に負担がかかって染めるのがたいへんなので・・・」ということで保留だそうです。(インタレストは継続の方向性で猛プッシュ中でございます。笑)

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そしてオリジナルの形は、なんと丹羽さんが着ているこちらのシャツなんです。オーナー様がオーダー下さったシャツジャケットは、これとはまったくの別物に見えますよね!このレベルのオーダーにも正面から向き合ってくれるのですから、本当にスゴイと思います・・・!
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5,「濃藍染め」のパキスタン手織りコットン・オーバーロングチュニック

本日ラストです。こちらはオーダー自体はとてもシンプルなのですが、オーナー様がセレクトされた生地が絶妙で、仕上がったお洋服の雰囲気も抜群でした!パキスタンで手紡ぎ&手織りによってつくられた、着れば着るほどになじむやわらかいコットン白綿生地で、定番の「オーバーロングチュニック」をお仕立てしています。

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手紡ぎの糸を手織機で織っているので、生地の雰囲気・質感が「均一ではない」のです。それなので、単色染めをしてもこうして自然なムラができて、その「味」が最高なんです!私たちインタレストも大好きな生地なので、次春夏ではまたこの生地をつかって何らかお洋服をおつくりしたいな・・・と、まさに今ジワジワきております。笑
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表面はネップっぽくなっていたり、糸の太さや織りの間隔もところどころバラバラで、でもそれがいいのです!この生地をたっぷりつかってオーバーロングチュニックのオーダー、これは思いつきませんでした。でもこうしておつくりしてみると、本当に抜群の風合いですよね!オーナー様のセンスに脱帽です!
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オリジナルの生地と形は以下のものです!

パキスタン手織り生地、こちらのカバーオールジャケットでしばしばつかわれます。この生地はとにかくその「なじみ」が魅力です。私がヘビーユースで着まくっているジャケットなどは、もはや重さを感じないくらい、しなやかにやわらかく育っています。手織り生地らしくザックリした風合いで、「カーディガンを着るには熱く、カットソーだけだと寒い」というときに重宝する、「ありそうでない」生地&ジャケットなのです♪

1枚目は私・店長Dの私物で4番の染め、そして2枚目が男性のお客様のオーダーアイテムで濃まだら染めです。
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オリジナルのオーバーロングチュニックはこの形です。こちらはコットンフランネルの変わり板締め。今回オーダーを頂いたオーナー様のお洋服は、寸法などは一切調整していません。
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本日は以上です!

今回も「画像を中心に・・・」とか考えながら書き始めたのですが、やっぱり思い入れが強いので書いてしまいますねえ・・・笑。本日の日記をご覧頂いて、「壺草苑のパーソナルオーダーって、想像していたよりもスゴイことができるんだ」と知って頂けましたらとても嬉しいです!

近日受付を開始予定の来季春夏のパーソナルオーダーも、ぜひお楽しみ頂けましたらと思います!「こういうデザインの洋服が欲しい!」を実現できるチャンスは、そうはないと思います!

 

さてさて明日からの週末、ぜひご来店下さいませ!秋冬物のお洋服が次々お嫁に行っており、毎日完売アイテムが出る状況が続いております!多くのお客様のお越しとお問い合わせを、心よりお待ちしております!

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