こんにちは、インタレストです。

 

*本記事は、こちらのリンク先でアップ済みの前編(1/2)に続く後編(2/2)です。

 

 

次の週末、1月21日(土)~29日(日)の会期にて、インタレストの2023年の第1段イベントとして、靴作家・森田圭一さんによる「ココチブランド」の受注販売会「路地裏の靴作家 vol.21」を開催いたします。

1年に2度のメイン受注会なので、会期末の週末1月28日(土)・29日(日)の2日間は、森田さんも来京&在店します。ぜひ今からご予定下さいませ!

 

 

 

 

 

今回vol.21では、近年でも特に大きなトピックがありますので、いつもは1回でまとめるイベント紹介ブログを2回に分けてお届けしようと思います。

本日の記事では、前半でご紹介したSEシリーズに負けず劣らずの嬉しいニュース「MUKUのリニューアルリリース」と、あとはいつも通り、特に「はじめまして」のお客様に向けたイベント概要についてご紹介いたします。

 

 


 

 

1, MUKUが新たに「MUKU BIG FOOT」としてリニューアルリリース

 

 

kokochi sun3が誇るイージーシューズとして不動の人気を誇る「MUKU」が、名前を変え「MUKU BIG FOOT (以下、MUKU BFと表記)」となり、リニューアルリリースされました。この新作靴を、インタレストでは今回はじめてご紹介いたします。

MUKU BFの価格は税込み42,900円で、これは税抜き39,000円なので、もともとのMUKUと比べると価格はお安くなっています。昨日のブログ記事でご紹介した「SEシリーズ」と同様、製法をはじめ様々な要素をゼロから見直すことで、以下でご説明するような明らかな進化をみながら低価格化が実現しています。

なお、画像のサンプルはALASKAやKuduなど+5,500円の有料オプションがかかるレザーでつくられていますが、それらは厚みがありライニングが不要であることから、定価通りの42,900円でオーダー頂けます。この点も嬉しいですよね。

 

 

 

ことあるごとに様々なトピックを携えて登場していたエース靴の一角である「MUKU」。この靴は見た目はきわめてシンプルでカジュアルなスリッポンなのですが、実はつくりはきわめて本格的な「靴作家によるハンドメイド靴」です。

そもそも制作工程自体がとても手間のかかるものですし、アッパーに切り替えがないためキズやシミのない大きな面積の一枚革を用意する必要があり、その上つかうことのできる革も限定的だったりと、つくり手にとても高いコストを要求する靴でした。

ただ、ココチブランドへの入門靴として常に人気ですし、リピーターになって下さる方も多いので、これをなんとかしたい・・・ということで、森田さんは靴の構造はもとより、制作工程や素材、パターン、ディテールまで見直して、リニューアルリリースを実現してくれました。

 

 

 

 

そのMUKUのリニューアルで、「ここが変わった」「ここは変わらない」という点について、特にお客様が実際にオーダー下さるときに必要な情報に絞って、大きく3点ご紹介いたします。

 

(1) 変わること: ソールが通称「シャークソール」に変更

 

新星MUKU BFのこれまでとの一番大きな違い、それがひと目で分かるソールの変更です。具体的には、従来の天然ゴムソール(=「クレープソール」)から、ギザギザが特徴的な通称「シャークソール」(←見た目がサメの歯のようなので)へと変更されています。

アッパーのシンプルさに対するアクセントというデザイン的な意味と、制作工程上の理由双方があるようですが、私たち個人的にはこの新デザインがとても気に入っています。明確に「普通じゃない感」があり、それがエッジになっていてとてもスタイリッシュな印象です。

MUKUはアッパーがシンプルなスリッポンなので、今回のシャークソール導入によって、オシャレな雰囲気が大きく増したと感じます。

ちなみに履き感については、この見た目とは裏腹に、他のビブラム社のラバーソール同様にクッション性がありすべりにくく、抜群に快適です。シャークソールは、ホワイトかブラックの2色からお選び頂けます。

 

 

 

 

 

(2) 変わること: あらゆる革がつかえるようになります

 

これまで、実質的には鹿革とKuduレザーくらいでしかつくることができなかったのですが、新星MUKU BFでは、基本的には素材としてラインナップされているあらゆる革でつくれるようになりました。この点こそが、今回のリニューアルで最大のポイントだと思います。

これは主に、柔軟性の低い革をつかうと破れてしまうリスクがあったV字になっている甲の部分が、製法のアップデートによって強化されたためで、今後は安心して、ブランドがラインナップしている多彩な革を自由にセレクトして頂けます。

 

サンプルでは早速、これまではあり得なかったALASKAもつかわれていたりして、(1)でご紹介したシャークレザーのインパクトも相まって、とてもユニークでエッジの効いたスリッポン革靴になっています。ぜひ店頭で実物をご確認下さいませ。

 

 

 

 

 

(3) 変わらないこと: 見た目を変えず、足幅の「普通」or「狭め」を選んでオーダー可能

 

もともとMUKUは構造上横幅が大きく、さらに靴ひもがなくて甲で柔軟に締めることができないことから、足幅が狭い方や甲が低い方が履くと、簡単に「かかと」が抜けてしまうという弱点がありました。定番靴であるMUKUは、実は「足を選ぶ靴」だったのです。

そうした状況のなか、MUKUが欲しくても諦めざるを得ないお客様が多くいらっしゃったことに対して森田さん応える形で、オリジナルの木型と比べて横幅と足囲が小さい、MUKU専用の「モディファイド・ラスト(=修正ラスト)」が誕生しました(→下の画像がその実物)。2019年春のことです。

これによって、たとえば同じ23.0cmのサイズでも「幅・普通(オリジナル)」と「幅・狭め」という風に、お客様の足型に合わせて柔軟にオーダー頂けるようになりました。

 

 

 

この仕組みがMUKU BFになってもそのまま踏襲され、呼び名だけが業界で一般的な「Eウィズ(=幅・普通)」と「Dウィズ(=幅・狭め)」に変更となりました。

もっとも、この点については「自分の足だけどよく分からない」というお客様が大半だと思いますので、店頭で足型を計測する際と、後日その足型を森田さんに見てもらったときに、こちらで最適なものをご提案させて頂いて折ります。どうぞ安心してMUKU BFをオーダー下さいませ。

 

 

 

これら3点以外についても大小いろいろな変化があって、履き感も少し変わっているようなので(←私たちもこれから試着するのが本当の楽しみです)、皆様もぜひ会期中の店頭で早速お試し下さいませ!

 

 

 

 


 

 

2, 現在おつかい頂ける革のラインナップにつきまして

 

 

本項では、今回の受注会でおつかい頂ける革で、特に最近よくオーダー頂いている人気の素材を簡単にご紹介いたします。(ここでご紹介している革は、全ラインナップのほんの一部です。店頭では、現在おつかい頂けるすべての革のすべての色の見本をご覧頂けます。)

現在ココチブランドでおつかい頂ける革のラインナップの豊富さは、改めて目を見張るものがあると思います。間違いなく過去一番で充実していますので、お目当ての靴のオーダーに、ぜひセレクトしておつかい下さいませ。

 

ココチブランドでラインナップされている革素材は「ナマモノ」で、豊富にあったかと思えば突然問屋さんの在庫もなくなってしまったり、同じ革の種類でもそのときどきで品質に大きな差があったり、世界情勢や為替動向などで大きく値上がりしてしまったり・・・と、本当に毎半年その中身が変わっていきます。

その意味で、「つかいたい革の状態が良いときはそのときにつかう」というのが鉄則であるといえます。特に現在インタレストでダントツ一番人気のKuduについては今はまだご案内できますので、ぜひご検討下さいませ。同じく人気のALASKAは海外産(イタリア産)のため、やや安定した供給に不安が出てきている様子です。

 

 

*以下、基本的に過去の記事からの引用ですが、「お客様のココチ」の画像についてはアップデートしています。どれもこれも素晴らしい仕上がりなので、以下ぜひご一覧下さいませ。

 

 

 

1, KUDU(クードゥー)

*アップチャージ(税込): 5,500円

 

KUDUというのは日本語で「クードゥー」「クーズー」などと呼ばれる、見た目はヤギに似たウシ科の動物で、まずはとにかくその裏革(=スエード)の美しさに定評があります。発色が実に鮮やかで、なでるとベロア生地のようなつややかな光沢が上がります。やわらかく柔軟性にも優れており、かつ起毛皮革なので防水スプレーを用いれば雨の日でも安心して履いて頂けます。

一方、流麗で上品な裏革とはまさに好対照で、その表革については俗に「トラ」と呼ばれる強いシワやアタリが革全体に縦横無尽に走っていて相当に野性的です。もちろんどの色の表or裏を、どの靴向けにつかうかは、お客様皆様が自由にお選び頂けます。

 

 

ワイルドな表革の荒々しさ、端正な裏革の上品さ、そしてその極限的なやわらかさ。いま、ココチブランドの靴をパーソナルオーダー頂く際に、インタレストで最も採用率の高い革がKUDUレザーです。

現在安定しておつかい頂けるのは、CAM・DK-BRN・BLKの3色です。

 

 

こちら、各色の表革・裏革の対比をぜひ改めてご覧下さいませ。

 

 

 

以下、KUDUレザーをつかっておつくりした「お客様のココチ」です。

 

 

 

 

 

 

2, アラスカとアマゾニア

*アップチャージ(税込): 5,500円

 

アラスカ

 

アラスカはもうリリースされてから3年ほど経つので、ココチブランドを見て下さっているお客様からすると定番レザーになりつつあると思います。ブランドがラインナップしているすべての革でも屈指のナチュラルレザーで、イタリアのタンナー”La perla Azzurra(ラ・ペルラ・アズーラ)”社製の強靱なバケッタレザーです。

この革については、この日のブログ記事をぜひご参照下さいませ。

当時ご紹介したこの革の魅力については、お客様の足元でエイジングを重ねるのを拝見している今にいたっては、そのとき以上に素晴らしいものと感じています。

 

在庫している色のラインナップは常に変動していて、現在おつかい頂けるのはPNK・NAT・IVORY・DKBRN・GRY・BLK・BLUの7色です。

ちなみに、次にご紹介するKuduレザーと同様、リリース当初は期間限定レザーだったのですが、ともに評判が良いため、在庫が安定している色を中心に森田さんがストックしてくれるようになっています。いつまでおつかい頂けるかわかりませんので、ぜひあるうちに採用頂けましたらと思います。

(とにかくよく焼ける革なので、たとえばピンクとラズベリー、あるいはナチュラル・アイボリー・グレーあたりは、1年くらいすると同じような色に育っているかもしれません。笑 このモーレツなエイジングの楽しさも唯一無二でアラスカでしか味わえませんので、ぜひご賞味下さいませ。)

 

 

 

ALASKAブラックの驚異的な焼けっぷりをご覧下さいませ。奇数枚数目が新品時、偶数枚目が2年物くらいの表情です。

どの色も焼けると飴色が上がってきますので、ブラックはご覧のようにとんでもなくカッコ良いカーキ色に育ちます。逆に、こういう「革が焼けて色が変わる」のが好きではないという方には不向きの革です。

 

 

 

以下、アラスカをつかっておつくりした「お客様のココチ」です。

 

 

 

 

 

 

アマゾニア

 

そして、まったく同じタンナーによる別のバケッタレザー「アマゾニア」が、NVYとBRNの2色でラインナップされています・・・が、ともに在庫はわずかとのことです。

このアマゾニア、厚さも硬度もおおよそアラスカに近いですが、それと比べるとかなり鮮やかな色味なのが特徴的で、定番色ながらこれまでにない雰囲気の、とても爽やかな革靴になります。

下にこの革のNVYでおつくりしたTramp-Hiの画像を掲載していますので、ぜひご参照下さいませ。新品時の爽やかな雰囲気も良いですが、焼けて色が濃くなっていくであろう未来の方がずっと楽しみな靴です。(「焼けて色が濃くなった」バージョンの画像も掲載しております。)

 

 

 

 

左が新品、右が1年物です。たった1年で・・・!

 

 

 

 

 

3, ヴィテッロ・フィオーレ (BLK、NVY)

*アップチャージ(税込): +13,200円

 

革が好きな人であれば100人いれば100人が知っているという、イタリアが誇る世界で最も有名なタンナーの1社であるGUIDI&ROSELLINI社(=以下、単にGUIDI)による、「仔牛の花」という粋な名前の付いた、彼ら独自のバケッタ製法によるナチュラルなカーフレザーです。

 

現在はブラックとネイビーの2色を展開しています。こうしてブラックと並べて撮影しても、色味の違いがわからないくらいダークな色味のネイビーです。信じられないほどカッコ良いので、ぜひ実物をご覧頂きたいです。

 

 

 

GUIDIレザーならではのオイリーでヌメッとした質感と、表面を覗き込んでも見えないくらいのキメの細かさが素晴らしく、この最高峰の高級レザーをココチブランドが扱うと聞いたときには、「ついに!」と身体が震えるほどのモーレツな興奮を覚えました。

GUIDIレザーといえば、その豊かなエイジングがその最大の魅力です。新品時はマットなその質感は、おそらく履き込まれてていくにつれて、美しくナチュラルな光沢を放つ、つややかな表情に育っていくはずです。それもご存分にお楽しみ頂きたいと感じます。

 

 

以下、ヴィテッロ・フィオーレをつかってつくられた「お客様のココチ」です。この革でつくる靴は本当に言葉では表せないくらい「美しい靴」に仕上がります。

(画像1枚目&2枚目がブラックで、残りの画像はすべてネイビーです。)

 

 

 

 

4, ジオラマ (MAP、SNOW、BLK、NVY、BRN)

*アップチャージ(税込): MAP+11,000円、SNOW+5,500円、その他±0円

 

THE LANDSCAPESのデザイン&制作と強くリンクして生まれた、ココチブランドオリジナルのヴィンテージの「ニベ革」です。

ニベ革とは裏革で、本来はタンニング(=皮を革として生成する工程)で整える毛足をあえてそのままにして、荒々しくワイルドな表情のままになっている革のことです。(美しく整えられた裏革が、一般的にスエードと呼ばれます。)

 

 

 

それにしても、ココチ流ニベ革は強烈なまでに荒々しく、それゆえに雄々しくたくましい表情に仕上がっています。THE LANDSCAPESだけでなく、それこそTHE HIKEや別のモデルでつかっても絶対にカッコ良いです。ヴィンテージレザーならではの「奥行き」のようなものも感じます。

このあたりの詳細につきましても、森田さん自身が語るTHE LANDSCAPESのページで紹介されています。

特に”MAP”という名前のついた、森田さん自身が後染めで加工している独特の色について、革の名前が「ジオラマ」となった経緯も含めて、ぜひご一読頂けましたらと思います。

 

  • THE LANDSCAPES~その製法や素材について >こちらから
  • 創作ストーリー~kokochi sun3 THE LANDSCAPES 「空から見下ろす景色と靴と」 >こちらから

 

 

 

以下、ジオラマをつかってつくられた「お客様のココチ」です。”map”のTHE HIKEは「最高!!」のひとこと。こんなにユニークな革で、本格的なハンドソーンのトレッキングブーツなんて、見たことがありません。最高!!

 

 

 

 

5, ジビエ (NAT)

*アップチャージ(税込): 5,500円

 

野山や森で、あくまで人間にとっての「害獣」として駆除されているイノシシ。肉は駆除する方々当人であったり、特別な卸先であったりで調理され料理として振る舞われているそうですが、これまでその皮は「産業廃棄物」として処理されているそうです。

森田さんが普段から親しく付き合うタンナーがその現状をみて、その皮をすすんで引き取った・・・は良いものの、分厚くカチカチに固いその皮は、徹底したタンニングによって「革」にしてもなお、扱いにくい素材だったようです。

タンナーからこの革の使い道について相談を受けた森田さんは、その状態のジビエの「革」を自分の工房で自身の手で、革靴の素材としてつかえるものに加工し、タンナーと繰り返し検討を重ねてその状態で納品してもらえる見通しが立ったそうです。

 

 

 

森田さんは、このジビエレザーについて、とても興味深い話をしてくれました。

「単に『皮』を『革』にしただけの状態で、二次加工はほとんど何もしていない状態です。それなので、10足つくって10足納品して、たとえば5年後・10年後に『全員集合!』とできたら、絶対に1足1足違う表情に育っているはずなんです。色も違うだろうし、表情も違うと思う。そんな風に、お客さんと一緒にストーリーをつくっていける、すごくおもしろい革だと感じているんです。」

 

私たちインタレストは、このナチュラルさが極まったジビエレザーと、美しさが極まったヴィテッロ・フィオーレとが同時にラインナップされ、そしてまったく同じモデルの靴で採用できるというココチブランドの多様性・柔軟性に、改めて底知れないワクワク感を覚えました。

このジビエレザーは、THE HIKEのサンプル1足で採用されています。森田さんをして「絶対にこの革をつかってTHE HIKEをつくりたかった」と言わしめる作品、こちらもぜひ店頭でその実物をご確認下さいませ。

 

 

 

 

 

昨日の記事と本記事のここまでが今回のトピックで、これ以降では、ココチブランド受注会「路地裏の靴作家」とはどのようなイベントかにつきまして、毎回ご案内している内容をアップデートしてお伝えいたします。

 

特に今回が初めてのご参加となるお客様におかれましては、ぜひご一読下さいませ。イベントをいっそうお楽しみ頂けるかと思います。

 

 

 

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