先日、本日記で「革靴の修理を承ることができるようになりました」とお伝えしましたが、その修理屋の職人に預けていた私・店長Dの私物の靴たちが戻ってきました。最近、特に10年くらい前に買ったレザースニーカーたちが立て続けに不具合を発症していることもあり、実は結構な足数を預けていたのでした。
あるブーツのヒール交換では、メーカー廃盤になっていたオリジナルの素材を同業者に声をかけて探し出してくれて、新品時と同じ仕様にしてくれていました。また、いつもあっという間にヒールがなくなってしまう半ば構造欠陥のレザースニーカーについては、ヒール部分だけミッドソールの一部をくりぬいて、そのぶんヒールの厚みが増す構造に直してくれていました(←これでヒールの持ちが格段に良くなります)。
一番処置に困っていたのは別の修理屋ではお手上げ状態だったスニーカーのソール接着修理で、これについては特殊なプライマー(≒接着用の下塗り処理剤)をつかって相当強固に貼り付けてくれていました。
実は、須磨で森田さんと一緒にその職人を訪ねて相談したとき、以上の修理案について、ほとんど即答でアイデアを出してくれていたんです。見積もりも即答です。横にいる森田さんと一緒に「なるほどな~」と感心しきりでした。その職人いわく、「靴の修理の多くはソール関連なんですが、実は僕ら修理屋からすると、ソールってたいていどうにかできるんです」。
これにはシビれましたね~。以前森田さんが「靴づくりとそのリペアでは必要な技術や知識が全然違うんです」「だから手間のかかる修理については修理屋にまかせています。僕がやるより速くて確実なので」と話してくれたことを思い出しました。実際、最近はkokochi sun3の靴でもオールソール交換が必要になるケースが増えてきていますが、それらについては今回私が依頼した職人が引き受けてくれています。
このことは靴に限ったことではありません。技術と誠実さ、そして経験を持っている洋服のお直し屋は、私たちが「これはさすがにどうにもならないだろう」と感じるような洋服でも、意外なほどあっさり直してくれたりします。私はパンツの直しを依頼することが多いのですが、率直に「この人たちにできないことってあるのかな」と感じるくらい、何でも引き受けてくれます。おそらく「お直し」という1点については、洋服の縫製工場よりも彼らのノウハウが優るのではないかと思います。
まさに餅は餅屋、ですね。
ところで、洋服のお直し屋にとって最も簡単な仕事の一つが「丈詰め」です。本日記では「パンツやスカートの丈が長すぎる場合はお直し屋さんで簡単に詰めることができます」と、本当にしょっちゅう書いている気がしますが、これは逆に言えば、「丈が長すぎるという理由でその洋服を諦めのはもったいないです」というメッセージでもあります。そもそもアイテムによって、丈詰めを前提に縫製されていることもよくありますので。
洋服にしても靴にしても、それを長く愛用するということは、のちのち必ず必要になる修理を経ることが前提になります。そして長くご愛用頂ける洋服に出会える場であることは、私たちインタレストの存在意義でもあります。その道のプロフェッショナルであるお直し屋は本当に優秀ですので、ぜひ彼らの技術をご活用頂きまして、末永くお召しになって下さいませ。
もちろん、修理の出来不出来については依頼主である私たち自身もその責任の一部を負わなくてはなりませんし(下調べも重要ですね)、高度な修理だとそのぶん出費もかさみますが、それでも思い入れのある洋服たちと長く一緒にいられるのならばと、私はいつも考えています。
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