こんにちは、インタレストです。

本日は、年明け1月に開催予定のkokochi sun3のイベント「一枚の革が靴になって。その靴を長く長く履いて」に連動する記事として、革靴のお手入れに関するお話、具体的には革靴にできた水ジミへの対処法の一例をご紹介いたします!

いつもお話ししています通り、kokochi sun3の靴は「長く長く履いて頂ける靴」ですから、お買い上げ頂いたあとのメンテナンスについても、しっかりとサポートさせて頂きたいと考えております!以下でご紹介するケースも、私たちが店頭でお手伝いさせて頂いた例です。

 

さて、皆様は、革靴にできる水ジミについてはどのようにお考えでしょうか?「せっかくだから水ジミをつくらずにきれいに履きたい」という方もいらっしゃれば、「そんなこと一切気にしない」という方もいらっしゃるかと思います。私・店長D自身は、あえて申し上げればその両方で、自宅には「これはきれいに履きたい」という革靴もあれば、「これは何も気にせずガンガン履き込みたい」という革靴もあります。

ともあれ、本日の記事の内容は、主に前者のお考えをお持ちの方に対する、そして前者のように感じられる靴をお持ちの方に対するお話です!

P1580798

 

雨などによる革靴への水ジミ。これは実はなかなかに厄介な相手でして、一度できてしまった水ジミを純粋に「消す」ことは、基本的にはかなり難しいとお考え頂いた方が良いかと思います。(どうしても消したいという場合には、プロの業者にご相談なさることをオススメいたします。)

ですので私たちはいつも、「(特に新品時には)革靴に水ジミをつけないよう注意して頂きたい」というお話をしているのです。予防策は決して難しいわけではありません。一部の特別な種類を除いて、革は特別水に弱い素材ではありませんから、たとえば雨の日に履く前に防水スプレーを振るだけで、水ジミになるリスクを劇的に減らすことができます。

とはいえ、夏場のスコールなど、不可避の事情により水ジミができてしまうこともあるかと思います。実際、インタレストの店頭ではしばしば、kokochi sun3の靴をお買い上げ下さったお客様から水ジミのご相談を承っているのですが、そういうときには、それを「消す」のではなく「目立たなくさせる」ということをご提案しています。

本日の記事では、水ジミができた靴を2足、それぞれ「シミが小さくて目立ちにくいケース」と「シミが大きくて目立つケース」について、それを目立たなくさせる方法を、恒例のお手入れのBEFORE/AFTERの画像を中心にご紹介いたします!ぜひご参考にして頂けましたらと思います!

P1570228

 

それでは以下、おもしろ楽しくお読み頂けましたら、そしてご参考にして頂けましたらと思います♪

 

——————

★大前提:革靴の水ジミの「予防」をお願いいたします!★

冒頭でも触れましたが、まずはやはり「革靴に水ジミをつくらないための予防策」をご提案させて頂きたいです!!私たちインタレストが考える予防策は大きく以下の2点です。これらを実践して頂けましたなら、水ジミをつくるリスクの大部分を回避することができると考えております。

  • 新品時(履き始めてから2~3ヶ月が目安)の革靴は、極力雨が降らない日だけに履いて、革を十分なじませる。(→水ジミができにくく&目立ちにくくなります。)
  • その後は、雨が降っている日、あるいは雨が降りそうな日には、防水スプレーを振ってから出かける。
防水スプレーでは、コロニル「1909 シュープリームプロテクトスプレー」が断然オススメです♪

防水スプレーでは、私・店長D自身がリニューアル前から15年以上つかい続けているコロニル「1909 シュープリームプロテクトスプレー」を強くオススメいたします!以下、当店ウェブサイトからの引用です。

すぐれた防水効果と、かつある程度の栄養注入効果のある(=シダーウッドオイル配合)、たいへん優秀な革製品向け防水スプレーです。揮発性が高く、かつサラッとした仕上がりになるため、デリケートレザーや新品時のレザー、あるいはスエードやヌバックなどの起毛レザー相手にもおつかい頂けます。もちろん、革靴に限らず、革バッグや革小物など、革製品全般で安心しておつかい頂けます。

*新品時の革製品のお手入れにも最適です!
新品時から見て3~6ヶ月くらいの比較的新しい革製品のお手入れで、保革・栄養効果の強い乳化性クリームをつかうと、まれに革の表面にダメージを与えてしまうことがあります(たとえばシミになってしまったり)。このスプレーが与える栄養効果はそれほど強くなく、また上記の通り揮発性が高いため、まだ繊維のなじんでいない新しい革製品に対しても安心しておつかい頂けます。

P1490800  P1490809

「デリケートレザー」の1種であるディアスキンではイニシャルケアを

kokochi sun3でおつかい頂ける他の革と比べて水に弱い、いわゆる「デリケートレザー」の1種としても数えられるディアスキン(=鹿革)に対しては、この日の日記でご案内している「インタレスト流イニシャルケア」を実践して頂くのも一つかと考えております。(イニシャルケアのBEFORE/AFTERの画像はこちらの日記にて。)

クリームを入れた瞬間だけは結構ガッツリ色味が変わるので、最初は驚いてしまわれるかもしれません。詳しくは店頭にてスタッフまでお問い合わせ下さいませ!

モウブレイ「デリケートクリーム」
P1450070

P1450073

モウブレイ「リッチデリケートクリーム」
P1180097

P1180132

 

——————

以下では、オーナー様より「水ジミができてしまったので」とお預かりしたkokochi sun3の靴に対して、私たちが補色ケアを施したケースのご紹介です!1足目は水ジミが小さくてケアも容易であるケース、そして2足目は水ジミが大きくてケアは「大手術」になってしまったケースです!

1,水ジミが小さくて目立ちにくいケース: kokochi sun3「たいこのおと」(半年物)

女性のお客様がオーダー下さった牛革ブラウンの「たいこのおと」。この画像は、今春の納品時(=新品時)のものです。ボディのブラウンをベースに、イエローとレッドで色を差すという絶品のデザインですね!
P1250685

この牛革は基本的には雨に強く、仮に防水スプレーをせずにビッショリ濡れたとしても、適切な乾燥とケアを施せば極端な水ジミにはなりません。私たちとしても、相対的には安心してお嫁にやれる革の1種です。
P1250945

つま先の小さな水ジミを目立たなくさせる!

そんな牛革ブラウンなのですが、あるとき右足のつま先に小さな水ジミができてしまったと、オーナー様からご相談を頂きました。上記の通りそもそも水ジミができにくい革ですし(=実際この画像の部分以外は一切シミになっていません)、しかもオーナー様は履く前に防水スプレーをしっかりなさったとのことで、私たちとしても意外な気持ちになりました。
P1580565

ただ、この画像でご覧頂けるように、このくらい寄って見てやっと分かるくらいの目立たないシミですので、これを目立たなくさせるために靴全体の雰囲気が変わってしまうような「大手術」は必要ありません。オーナー様に対しても、「この程度であればまったく心配はいりません」と、その場で即答させて頂きました。
P1580563

「水ジミを目立たなくさせるケア」とは、ごく簡単にいえば「着色(=補色)してシミを見えなくしてしまうこと」です。そこで、局部を中心に少しだけ色味を濃くするために、ここでは補色効果の強いモウブレイ「シュークリームジャー」をつかいます。補色するときのクリームは、革の色よりも薄い色から始めるのが鉄則です。この靴の場合はライトブラウンから始めたのですが、薄すぎて革に色が入らないので、最終的にはこの画像のミディアムブラウンに落ち着きました。
P1450077-001

このミディアムブラウンを、人差し指にほんの少しだけ取って伸ばし、それを局部を中心に塗っていきます。一番濃いめのつま先からボディにかけてゆっくりと色味が薄くなるグラデーションのようになるのが理想ですね。とにかく、ほんの少量ずつ塗っていくのがコツです。色を濃くしたければ、少量を重ねていきます。
P1450079

クリームで色を乗せたらブラッシングを。ここでは、一般的に市販されている仕上げ用ブラシでは最高レベルのクオリティであるともいえるモウブレイ「平野ブラシ(豚毛)」をつかいます。
P1470705

少し話がズレますが、このブラシに限らず、毛の色は白がオススメです。こちらの画像のように、普段つかっているクリームの色が付いて分かりやすく、見間違えません。(ブラックのクリームのときはブラック用のブラシを、ブラウンのクリームのときはブラウン用のブラシをつかいます。)
P1470736

クリームによる補色ケアのBEFORE/AFTERをご覧下さいませ!

以下では、シミを目立たなくさせるという目的で施した補色ケアのBEFORE/AFTERの画像をご覧下さいませ!

BEFORE: 上でもご覧頂いた画像ですね。このつま先の水ジミを目立たなくさせることが、そもそもの目的で・・・
P1580565

AFTER: この通り、すっかり分からなくなりました♪
P1580764

BEFORE: 靴の全体像です。こちらが補色ケア前で・・・
P1580552

AFTER: こちらが補色ケア後です。つま先と、それから靴の側面とソールの境界あたりをぐるり1周縁取るように補色しています。
P1580758

BEFORE
P1580563

AFTER: つま先からボディにかけて、だんだん色味が薄くなっていくグラデーションを目指しています。
P1580762

BEFORE
P1580568

AFTER: つま先と、側面のソールとの境界が幾分濃いめの色になっていることがお分かり頂けるかと思います。
P1580766

BEFORE
P1580606

AFTER
P1580793

AFTER: こちらもAFTERです。ついでに、削れていたソールの側面にもブラウンの色を入れておきました。
P1580833

私たちとしても満足いく仕上がりで、そしてオーナー様にもとても喜んで頂けました。小さなシミでも気になるものは気になりますからね!それで履かなくなってしまってはもったいないので、皆様もどうかお気軽にご相談下さいませ!
P1580816

 

2,水ジミが大きくて目立つケース: kokochi sun3「サーカス」(3年物)

男性のお客様がオーダー下さったディアスキン・キャメルの「サーカス」。今からちょうど3年前、納品したときの画像です。今では定番モデルとなったサーカスが、まだ生まれて間もない頃の靴ですね。この画像を引っ張り出してきて、懐かしいな~カッコイイな~と、改めて感じています!
P1340035

この靴は、その段違いのやわらかさ・肌当たりの良さの反面、相対的に「水ジミができやすい革」としてたびたび取り上げているディアスキン(=鹿革)でできています。そして、この靴を「こともあろうに、(ふるさとである)真冬の雪国に履いて帰ってしまって(笑)」と、オーナー様。そしてどうなったかというと・・・
P1340428

革の色全体を濃いめにリフレッシュ!つま先の大きな水ジミは「なかったこと」に!!笑

このような・・・!これは確かに、もはや笑うしかないかも?!(笑) つま先から甲のあたりまで、しっかり色が濃くなってしまっているのがお分かり頂けると思います。なんと、これが丸ごと水ジミです。「雪の中を歩いていたら、つま先は完全にビショビショになっちゃって。防水スプレー?つかったことないです。」と、オーナー様。勝手知ったる仲なので、「ちょっとそれはないでしょ~!」と私。笑
P1570137

「まあ、別にこのままでもいいんですけど、インタレストさんなら何とかしてくれないかな~と思って。笑」、「なんともならないですよ~!もうこれガッツリ色乗せるしかないですよ。大手術してもいいですか?」、「あ、いいですいいです。ぜひやって下さい!」、「靴の雰囲気はガラッと変わりますけどいいんですか?」、「あ、それむしろいいじゃないですか!笑」という会話があり、「よし、じゃあ私も良い経験になりそうなのでやらせて頂きます!」と、お引き受けすることにしました。
P1570139

まずは、デリケートレザーであるディアスキンではつかわないコロニル「1909 シュープリームクリームデラックス」をつかって、革の表面にムラ(という名の油シミ 笑)をつくっていきます。あ、ちなみに、このケアは皆様全員にオススメしたいということではなく・・・ええと、ぜひ実際になさる前にご相談下さいね!笑
P1470785

普段、ディアスキンにはデリケートクリームなど革にやさしい(=シミはできにくいものの効能は小さい)クリームをつかうのですが、ここではあえて強いクリームをつかいます。つま先以外の色味も一段濃くしてしまうためです。
P1470789

そしてですね、我ながら「まさかこの色とは・・・」とビックリしてしまったのですが、なんと補色には最も濃いダークブラウンの色味が必要でした。こちらは、モウブレイ「クリームナチュラーレ」です。このzanpanoのケアで補色効果がバッチリであることは確認済みなのですが、ライトブラウンでもなく(←何も起きない)、ミディアムブラウンでもなく(←シミが目立たなくならない)、ボディの色味よりはるかに濃いダークブラウンをつかうことになるとは、「まさか」でしたね・・・。
P1450567

さすがに最初はおそるおそるでしたが、途中から無遠慮にグリグリ塗り込みましたね(笑)。これは「大手術」以外の何物でもないのですが、結果的にずいぶんカッコイイ靴に仕上がって、オーナー様も「お~!やった~!ありがとうございます!!僕の靴、ブログで『悪い例』としてつかっちゃって下さいね!笑」と喜んで下さいました。
P1450570

ディアスキン相手ですので、かための豚毛ではなく、やわらかい馬毛のブラシをつかいたいですね。ここでは、コロニル「馬毛ブラシ」で念入りにブラッシングです!
P1490874

汎用価格帯(1,000円台がめど)のブラシでは、「これを」とオススメしたいブラシです。一般的に「馬毛ブラシはホコリ落とし用に」と言われますが、このブラシは仕上げ用につかっても十分その機能を果たしてくれます。そのボリュームと高密度の植毛から、使い始めは重さを感じるかもしれませんが、仕上がりの速さなどの効果感は特筆すべきものがあります。

*ブラッシングは革製品のお手入れの「基本のき」です!
たとえば革靴であれば、「一度履いたらその日のうちにブラッシング」、「ケアする前にホコリ落としのブラッシング」、「クリームを入れたらなじませるためにブラッシング」という感じで、あらゆる重要なプロセスでブラッシングが登場します。革製品のお手入れとエイジングは、ブラッシングなしでは決して語れません。具体的な使い方などにつきましては、スタッフまでお気軽にご相談下さいませ。

P1490891

クリームによる補色ケアのBEFORE/AFTERをご覧下さいませ!

結構時間がかかりましたが(汗)、概ね当初イメージした通りに仕上がりました。やはりつま先からボディに向かって色味が薄くなるグラデーションのようにしたかったのと、あとは靴全体にムラ感を出してカモフラ柄のような風合いに見せたかったというのがあります!

BEFORE: つま先全体に染み渡っていた水ジミですが・・・
P1570137

AFTER: 革全体を濃い色味のクリームで補色し、かつ油分の強いクリームでムラ感を出していますので、どこにシミがあったのかが分からなくなっています。(←こうしてシミなんて「なかったこと」にしてしまう。これが狙いです。笑)
P1570235

BEFORE: たっぷりの水ジミは・・・
P1570139

AFTER: 見えなくなりました!
P1570233

BEFORE
P1570130

AFTER: 靴全体のムラ感もかなり気に入っています♪
P1570237

BEFORE
P1570128

AFTER: 今ふと思いましたが、森田さんがやっているブロークン加工みたいですね、これ。笑
P1570231

BEFORE
P1570135

AFTER
P1570232

 

以下はすべて補色ケア後、「AFTER」の画像です。お日様の下で撮影したら、よりカッコイイ印象です!

AFTER: つま先から甲を駆け上がって前のタブにいたるまで、だんだん色味が薄くなっていくグラデーションを目指しました。
P1570212

AFTER: 靴の全体像です。結果的に、もともと枯渇状態にあったオイル分もたっぷり入れることができて、ツヤが上がっていますね。
P1570195

こちらは新品時の状態で・・・
P1340092

AFTER: こちらが今回の補色ケア後の状態。香ばしい感じです。
P1570201

AFTER
P1570170

AFTER: ムラの入り方も、大げさすぎず、かといって少なすぎず、良い塩梅です。
P1570202

AFTER: オーナー様は、「3年ガンガン履いてきて、これからまた新しい靴を履き始めるような感覚です!」と仰って帰られました。あ、でもその前に、「これだけは買って帰って下さい!」とコロニル「1909 シュープリームプロテクトスプレー」はお持ち帰り頂きました(笑)。オーナー様、ぜひ防水スプレーはおつかいになって下さいね!
P1570186

 

——————

本日は以上です!

一番申し上げたいことは、2足目のように結構強烈な水ジミができてしまっても、そこで諦める必要はないということです!私たちは私たちで、我流ではありますが、こうしてお手伝いすることもできますし、もちろん森田さんに相談することもできます!お買い上げ頂いたあとにつきましても、ぜひお気軽にご相談下さいね!いつでもお待ちしております!

インタレストは明日ももちろん通常営業です!当店ウェブサイトの各ブランドのページをご覧になるとお分かり頂けます通り、相変わらず連日完売アイテムが続出しております!ぜひぜひご来店下さいませ!多くのお客様のお越しとお問い合わせを、心よりお待ちしております!

P1580821

P1570222

 

 

<お問い合わせ>

  • 商品やその他のことについてのお問い合わせは、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡下さいませ。定休日に限らず24時間以内に必ずお返事いたします。
  • 24時間以内に当店からのお返事が届かない場合は、(1)ご入力頂きましたメールアドレスにお間違いがないか、(2)そのメールアドレスがPCからの受信を許可する設定にして頂いているか、をもう一度ご確認頂いた上、お手数ですが再度フォームよりお問い合わせ下さいませ。
  • 定休日(火曜日)以外であれば、お電話(03-6457-5360)でのお問い合わせが確実です。在庫確認・確保やその他につきまして、その場でご対応可能です。ぜひお気軽にお電話下さい。