こんにちは、インタレストです。

普段、お客様から「日記を読みました!」と言って頂けるととても嬉しいのですが、中でもダントツで多く「あの記事を読んだのですが・・・」とご感想やご質問を頂く記事があります。それは、「メンテナンスガイド: 冬のウールコートを『育てる』ための6つのポイント」というタイトルの記事です。季節的にも、まさに今、お読み頂けましたらと考えております!

この記事は私たちインタレストというショップのありようがハッキリと現れていると自負しておりまして、その意味では、掲載から1年近く経った今でも多くのお声を頂けることに大きな喜びを感じております。ありがとうございます!

その記事が旧日記のフォーマットで書かれたものでしたので、本日はそれを丸ごと再掲させて頂きたいと思います!内容は「てにをは」を修正したり少しだけ加筆したくらいで、ほとんど変わっておりませんので、今後はこちらでご確認頂けましたらと思います!

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それでは以下、ぜひジックリとお読み頂けましたらと思います!(既にお読み下さっているお客様も、ぜひご確認としてご活用下さいませ!)

 

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はじめに

インタレストは「洋服を楽しむ」(=「一度買った洋服を、メンテナンスや修理もしながら、長い年月ずっと着続ける」)というのが、永遠に変わらないショップコンセプトですので、その意味において「楽しめる洋服」を皆様にご提案させて頂こうと、スタッフ一同日々努力をしております。

そして最近は洋服や革靴のメンテナンスについてのご質問やご相談を頂くことが多くなっております。そこで本日は、季節柄ということもありますが、ここのところ最も多く頂戴する内容につきまして、お客様との実際のやり取りでお話ししていることをまとめて、一つの記事にしようと思います。ご参考にして頂けましたら幸いです!

 

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今回は、ウール系(カシミヤなども含む)の布帛生地でつくられたコート、たとえばメルトンコートやツイードコートなどの着用やお手入れ・保管などにつきまして、私・店長Dがこれまでの華々しい経験(という名の多大甚大な失敗の数々)から学んだことを、誠に僭越ながら「冬のウールコートを『育てる』ための6つのポイント」と題しまして、皆様にご提案させて頂きたいと考えております!

(もっとも、以下はあくまで私自身の個人的な考えであるということを、予めご承知下さいませ m(_ _)m)

今日の日記は、いつもより文字の比率が多めです(汗)。ちょっとしたコラムだという気軽なスタンスで、まずはサラリとご一覧頂けましたらと思います。その中で、「これは自分にもできそうだから実践してみよう!」ということが一つでもありましたら、とっても嬉しいです!

それでは以下、「冬のウールコートを『育てる』ための6つのポイント」、よろしくお付き合い下さいませ!

 

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1,上質なコートを買う(年月をかけて少しずつ増やしていく)

やはり、このことが大前提です。ご自身が向こう10年、20年と着続けたいと思えるコート、そしてその経年着用とメンテナンスに耐えうるコート(=「育てることに値するコート」)が、ご自分のクローゼットに複数着存在する必要があります。(今後ゆっくりと、できれば10着程度まで増やしていきたいです。)

洋服が好きになったばかりの私(20代前半)が考えたのは、「頑張って働いて、毎年1~2着、上質なコートを買い続けよう」ということでした。そうすれば、10年後には10着になっていて、あとはもうそれを着回して育てていければいいかなと。真に上質なコートはちょっとやそっとではダメになりませんので、実際に10年以上経過した今でも、当時の期待通り現役でいてくれています。(もちろん途中で好みが変わったりするので、入れ替わりがあったりするのもまた然りです。)

では、「上質なコート」はどのようなコートなのでしょうか。残念ながらこのことについては、とてもここではお話ししきれそうもありません。そもそも、個々人の考え方・捉え方・価値観によって違ってくるという面もあります。ただし、良いか悪いかは別として、一つの客観的な尺度としては、やはり「価格」が挙げられると思います。

川久保玲さんが仰るように、いい物には人の手も時間も努力も必要だからどうしても高くなる」のです。卓越したセンスを持つデザイナーが創造し、匠の技を持つパタンナーが型紙を起こし、とびきり質の高い素材をつかい、技術力・競争力のある工場を複数使ってつくったなら、どうしてもその洋服の値段は高くなります。私は、それは当然のことだと考えます。

とはいえ、高ければ良いというものではありません(そこが難しいところですよね・・・汗)。理想的には、「価値そのもの=価格」のコートが見つかると良いのですが、それは簡単なことではありません。ある程度の経験(特に失敗)と知識がなければ、そもそもどこから始めて良いかすら分からないかもしれません。

少なくとも私たちインタレストは、皆様のお役に立てますよう、「育てることに値するコート」をご提案し続けることをお約束いたします。

(6~7年前に購入した私物ダッフルコートです。ケアは着用後毎回のブラッシングのみ。クリーニング回数はゼロ。はじめはゴワゴワしていた生地がやわらかくなじみ、新品時が冗談であったかのように着心地良く育ちました。)
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2,着すぎない

私の経験上、たとえば1週間に一度くらいの着用に抑えられると、そのコートの「持ち」の違いが歴然としてきます。最も多くても1週間で二度程度に抑えたいところです。(このことが「理想論である」ということは理解しております。「理想的には」ということで、頭の片隅に入れておいて頂けましたらと思います。)

また、たとえば1ヶ月に四度着たとして、平均すると1週間に一度であっても、それが「4日連続で着た」となると話は違ってきます。天然素材でできたコートを日を開けず集中して着ると、あっという間に傷んでしまいます。「働かせすぎるとくたびれてしまう」とお考え下さい。旅行のときなど、毎日着続けるときは、ナイロン製のダウンジャケットなどをご活用頂くのが良いと思います。旅先では、雨や雪なんかもちょっと怖いですしね。

そうそう、これも経験上持ち得た感覚なのですが、逆に「着ない」というのもあまりよろしくないようです。スネてしまうのでしょうか、「着るのか処分するのか」を検討するために2年ぶりに手元に引き出してみると、「なんだか疲れているなあ、機嫌が悪そうだなあ」と感じることがしばしばなんですよね。そう、言い換えれば、「育っていない」。繰り返しになりますが、やはり適切な頻度で着て、そのたびにブラッシングをして・・・という繰り返しが、「コートを育てる」という意味では最善であるように感じます。

(7~8年前に購入した私物コーデュロイジャケットです。ケアは着用後毎回のブラッシングのみ。クリーニング回数はゼロ。他のアウターに比べると着用回数が少なめということもあり、コーデュロイ特有の「かすれ」などもまだ現れず。エイジングも楽しみたいので、そろそろ出てくれてもいいのですが。笑)
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3,着たら毎回ブラッシングをする

メルトン生地、ツイード生地・・・などのウール系の布帛でできたコートでは、定期的なブラッシングによるケアが必須です。ホコリを落とし、毛並みをきれいにして、生地のコンディションを整えます。それに、たとえば上質なメルトン生地であれば、ブラッシングをするだけで光沢がよみがえりますし、毛玉防止にもなります。クリーニングに出す回数もグンと減るはずです。

コートのブラッシングでキツイのは、たとえば革靴のメンテナンスのような「瞬間的な効果」が分かりにくい点が挙げられます。ブラッシングによって何がどう良くなっているのかが、最初のうちは分かりにくいのです。ですので、まずはともあれ、だまされたと思って続ける必要があります。何年か続けていると、一つはブラッシングによる経年の効果がハッキリと具体的に現れるのと、もう一つは当初は分かりにくかった「瞬間的な効果」も感覚的に分かるようになります。(たとえば、着用により荒れていた毛並みがきれいになるのが、目で見て分かるようになります。)

夜そのコートを着て家に帰ったら、うがい・手洗いの前に、洋服にブラッシングをかける習慣をつけてしまうのが吉です。私の場合、その日に着たコートにブラッシングをしないと気持ちが悪くて、それ以外のことが手に付きません。笑

なんとなく書いたような記憶があって、探してみたらありました。過去の日記で、「ブラッシングの意味とそのやり方」についてご説明しています。2年以上前の記事ですが、今回とまったく同じことをお話ししていて、読んでいて思わずフフッと吹き出してしまいました。笑

(3年前に購入した私物ピーコートです。ケアは着用後毎回のブラッシングのみ。クリーニング回数はゼロ。このコートのメルトン生地は、ことさらブラッシングの「瞬間的な効果」がハッキリ現れます。この画像もブラッシング直後のものですが、美しい光沢を放っているのをご覧頂けると思います。)
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4, 「丁寧に」着る

このことは意外と盲点のようです。「丁寧に」着る。店頭でお客様にお話しすると、まずはビックリされ、すぐに「確かに・・・」とご納得頂けるのですが、私からすると、最初のうちはこのことが盲点であるという事実に戸惑いを覚えていました。

最も分かりやすい例を申し上げるなら、電車の中で、コートを着たまま座席に座っていませんか?これはいけません。当然のごとく不自然なシワが生まれ、体重の何分の一かの「圧」が加わることでテカリが出て、こすれることで毛玉にもなります。しかもおしり周りだけに。どんなに上質なコートで、どんなに頑丈なコートでも、必ず傷んでしまいます。電車だけでなく、いすに腰掛けるときにはコートは脱ぐ習慣をつけると良いです。

下の(5)とも関連しているのですが、私自身は、座席に座る・座らないに関係なく、電車やタクシーに乗る直前にコートを脱いでしまいます。デパートやオフィスビルに入るときも、入口付近でコートを脱いでしまいます。そのことの理由は、(4)の内容が半分・(5)の内容が半分というイメージです。「コートも守れて、自身の健康も守れて、一石二鳥じゃないの」と、実は心の底では面倒くさがっている自分自身に言い聞かせている意味もあります。笑

もう一点具体的な例を挙げますと、「コートをなるべく皮膚に直接触れさせない」というのもポイントです。たとえばタートルネックのインナーを着たり、私であればネルシャツの襟を立ててしまって、コートの首回りを守ります。あるいは、袖丈の長いシャツを着たり、アームウォーマーや手袋を活用することで、コートの袖先を守ります。

着方ではなく保管法ですが、「肩幅のあるハンガーをつかう」ということも欠かせません。木製の高級ハンガーである必要は一切ありません。プラスチック製のもので十分なので、肩幅の部分に十分な面積のあるハンガーをつかって保管なさって下さい。型崩れや生地の伸びなどを防ぐことができます。

これらのことに限らず、着ているときに「コートに負担がかかるかも」とお感じになるようなことは、あらかた避けた方が無難です。「育てる」という言葉の意味は、「放っておいても勝手に育つ」ということではありません。10年後に素晴らしいコートに育て上げるためには、相応の努力や気づかいも必要ということだと思います。

(6~7年前に購入した私物モッズコートです。ケアは着用後毎回のブラッシングのみ。実はコットン生地でもブラッシングの効果はあります。クリーニング回数はゼロ。モッズコートは丈が長いので、このまま座ったり立ったりを繰り返すとおしり周りがボロボロになります。もちろん私自身は、着たまま座ったことは一度もありません。)
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5,着たまま汗をかかない

このことは、まさに直近の秋冬シーズンに、他の誰でもない当店スタッフYから指摘されて、私自身「なるほど!」となったことです。笑

真冬なので外を歩いているくらいでは汗はかかないかもしれませんが、たとえばデパートなどの屋内、電車の中など、やたらに暖房が効いていて、コートを着ていると「暑さ」を感じる場所があると思います。そういう環境でコートを着たままでいると、当然汗をかくこともあり得ます。それがインナーを超えてコートまで達してしまう。これを繰り返していると、さすがにシーズンオフにクリーニングに出さざるを得ないように思います。(放っておくとニオイそうですし、カビになったり虫食いのリスクもありそうです。)

上の(4)でも書きましたが、私自身は電車やタクシーには「乗る前」に、あるいはデパートやビルには入ったらすぐにコートを脱いでしまうので、「コートを着たまま汗をかく」ということはまずないです。そもそも体質的にものすごく汗っかきなので、真冬でも外を歩いているだけで暑さを感じることがあるのですが、そういうときは気温3度であろうとコートを脱いで涼んでいます。

でもそのことは、さすがに「コートを守るため」だけではなく、自分自身の健康のためでもあります。私が冬に風邪を引くときは、たいてい「暑くて汗をかく→着ている洋服が濡れる→全身が冷える→真冬なので冷えまくる→体調を崩す」という決まったパターンがあるので、とりわけ冬に汗をかかないよう気をつけているのです。それなので、Yに指摘されるまで、このことが「着たまま汗をかかない」という点で間接的にコートを守っている(←!)とは、まったく気づかなかったのです。

「店長、クリーニングに出さないのにコートにニオイがつかないのって、ひょっとしてまったく汗をかいていないからじゃないですか?」と。確かに。それが理由のすべてであるとは思いませんが、一役買っている可能性は高そうです。

(5~6年前に購入した私物シングルピーコートです。ケアは着用後毎回のブラッシングのみ。クリーニング回数はゼロ。このコートは中綿がたっぷりなので、私が電車の中で着ていたら暑くてのぼせてしまいます。コートを守るうんぬんの前に、絶対に脱がないと。笑)
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6,洗いすぎない(特にドライクリーニング)

シーズンオフのメンテナンスについてです。このことはたびたび日記でもお話ししてきたように記憶していますが、コートにとって「クリーニングに出すこと(→特にドライクリーニングをすること)」は、必ずしも良いことではありません。クリーニングについては、せめて数シーズンに一度くらいの頻度にとどめたいところです。(このことの詳細についても、とてもここでは語りきれませんので省略です。)

私自身は、コートは滅多にクリーニングに出しません。というより、少なくとも直近5年以内に買ったコートについては、一度もクリーニングに出していないです。それでも、ニオイもなければ、皮脂汚れもなければ、カビににもならなければ、虫食いもなければ・・・とにかく、とても健康な状態を維持しています。

気をつけていることは、上記(1)~(5)すべてです。上質なコートを複数所有し、そのそれぞれは1ヶ月で数度の着用にとどめ、毎回「丁寧に」着て、着終わったら必ずブラッシングをかけます。付け加えるなら、個別に通気性の良い洋服カバーをかけていることと、シーズンオフでもクローゼットの中などの「密室」には閉じ込めないことくらいでしょうか。それ以外に特別なことは何もしていません。

・・・と申し上げても、一方で私がしていることをすべて実践なさっているという方も、決して多くはないと推測しています。私にとっては呼吸をするのと同じくらい自然なことばかりなのですが(笑)、普通はなかなかそうもいきませんよね。具体的な方法などにつきましては、いつでも店頭でご相談下さいませ。大好きな分野ですので、喜んでお相手させて頂きます!

(3~4年前に購入した私物スタジャンです。スタジャンはメルトンボディ+レザー袖ですから、そもそも「クリーニング不可」の品質表示です。ケアは着用後毎回のボディ・袖別々のブラッシングのみ。当然ながらクリーニング回数はゼロ。袖先のリブに毛玉ができはじめたかなという状態です。気にならないので放置です。)
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本日は以上です!

ぜひご参考になさって頂けましたら嬉しいです!分からないことがありましたら、ぜひ店頭でお気軽にご質問下さいませ。

インタレストはもちろん明日も通常営業です!多くのお客様のご来店とお問い合わせを、心よりお待ちしております!

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